第3章 社畜は嫌
【マービンside】
南米支部でも本部の科学班にめちゃくちゃ美人な女がいるっていう噂はあった。
いや美人だからなんだよ、としか俺は思わなかったが。
どうせ顔だけでチヤホヤされてろくに仕事もできないような奴なんだろ。
他の支部へ飛ばされた奴の後釜として本部に呼ばれ、例の美女とやらと会った。
まあたしかに美人だ。だけどまあ、班長補佐と名乗ったそいつは愛想振りまいてるだけの頭の悪そうな女にしか見えなかった。
この手の女とは関わらないに限る。挨拶か差し出された手をスルーしてそれなりに年季の入ってるおっさんに引き継ぎの事を尋ねたら彼女がまとめたという書類を渡された。
こいつも女のトリコってことか。本部の科学班はハーレム化でもしてんのか。
「マービン、数学は俺とティアが補助するからそっちに回せ。」
「生物学はティアが詳しいよ。」
「物理学の本?ティアに聞くのが手っ取り早いからティアに聞いて。ティア本の位置結構覚えてるから。」
「あの子のメインは化学だから何かあればそっちに。」
あれ、もしかして有能……?
「はい、ジョニー、これ、まとめといたから。班長、少し仮眠とってきます。」
「ティアありがとう〜〜!」
数日間の徹夜で目元に真っ黒なクマ作ったティアが仮眠室へのそのそと入っていく。
めちゃくちゃ有能な仕事人間だったわごめん。