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空を見上げた。

第9章 7。



彼は私の顔を真っ直ぐに見つめ、様子を伺うように険しい表情と鋭い瞳でじっと見ていた。

私は心の中で「理由も何も、『に会っていた』などと口が裂けても言えない。もしその事実を口にしてしまえば、すべてが終わってしまう」と考え、軽率に口を開くことができない。

今、無闇に口を開けば、私は何を口走るか分からない。
そのため、私はただ視線を彷徨わせ、言葉を失っていた。そして、リヴァイは私を黙って見つめることで、表現し難い圧力をかけてきた。

私はその無言の圧力に屈し、思考は完全に停止してしまった。思わずため息をつきたくなったが、この場でそのような行動を取ることは立場上不適切だと感じた。私は閉じた口の中に溜まっていく唾液を飲み込むのが精一杯だった。

「あ、あの…兵長…ハンジさんも反省していらっしゃいますし…今日はこの辺で…」

すると、私の様子を見て、さすがに不憫に思ったエルドが恐る恐るフォローを入れてくれた。しかし、今のリヴァイの様子と状況からすると、その判断が「吉」と出るか「凶」と出るかは運次第だ。

その気持ちと勇気には感謝したい。しかし、エルド自身のためにも、判断と状況を見誤らないでほしいと思った。

「反省して謝れば許されると思っているのか?仮にもこいつは幹部の一人だぞ?一兵士でも、ましてや世間知らずの新兵でもない。エルド、お前ならその程度のことは理解していると思っていたが、俺の思い違いだったのか?」
「申し訳ありません!言葉が過ぎました!」

そして、やはりエルドの判断は「凶」と出てしまった。私もリヴァイとは長い付き合いであり、彼が置かれた状況を自分なりに見て判断し、行動に移すことは理解している。

それは、この場にいる新兵のエレン以外のメンバーも理解しているはずだ。しかし、自分なりに状況を見て判断し行動したとしても、必ずしも良い方向に進むとは限らない。

実際、今は私だけに向けられるはずだった怒りの矛先が、他のメンバーにも及んでいる。それを考えると、私は申し訳なさからまぶたを閉じ、ますます言葉を失っていくのを感じる。そして、リヴァイは私を下から睨みつけ、その場を動こうとはしない。

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