第9章 7。
私は現実逃避しそうになるのを堪え、見当違いな考えを打ち切って、声の主に振り返った。しかし、私より少し背の低い声の主に視線を向けたくても、どうしても向けることができず、はぐらかすように声が震え、かすかに膝も震わせながら、当たり障りのない言葉をかけた。
「…ほぅ…お前は、この素晴らしい夜に、俺に削がれたいというのか?そのためにわざわざ律儀に出向いてきたと?いい度胸をしているじゃねぇか?なぁ?」
しかし、私の悪あがきがこの男に通用せず、皮肉な言葉が返ってきた。その瞬間、私は言葉を失い、反論の言葉すら思い浮かばなくなってしまった。
「あ、いや、そのことなんだけど…それは…」
「何だ。言いたいことがあるなら、はっきり言え」
そして、私は後頭部に手を当てた。リヴァイに視線を向けることができず、視線を彷徨わせながら乾いた笑みを浮かべる自分を、「この場にいる部下であるリヴァイ班のメンバーにはどう映っているのだろうか」と考えた。
しかし、今は上官としての威厳よりも優先すべきことが目の前に存在している。これが、私が最も向き合わなければならない現状なのだ。
リヴァイは余計なことを何も言わず、黙って食堂の出入り口で腕を組み、寄りかかりながら、険しい表情と鋭い目つきで私を見つめている。私は何度も言葉を発しなければと思い、思考をフル回転させるが、そうすればするほど思考はますます動くことを拒み始める。
「おい、お前ら…俺はこのクソメガネが来たときに声をかけるように伝えておいたはずだが…何をしていたんだ?」
「も、申し訳ありません!」
すると、リヴァイは私の曖昧な態度を見て、呆れた様子で苛立ちを隠すことなく大きなため息をついた。そのため息の大きさは、今日私が引き起こしてしまった言動の重大さを物語っていた。
そして、彼は私から視線を逸らし、私の背後で見事に美しい敬礼をして微動だにしない班のメンバーに目を向けると、静かすぎて不気味に感じる声で問いかけた。すると、その場にいるリヴァイ班のメンバーを代表してエルドが声を震わせながらはっきりと返事をした。
「謝罪は聞いてねぇ。何をしていたのか、俺は聞いているんだ」