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空を見上げた。

第8章 6。



そして、リヴが生まれてから、どうすればよいのか分からなかった。しかし、シイナと共に生活する中で、彼女の存在や言葉、そして抱きしめてくれる温もりに何度も救われてきた。

きっと、彼女も私に対してもっと言いたいことがあるだろう。それでも、彼女は私を理解し、支えてくれている。私は今後、彼女に何を返せるのだろうか。

彼女だけでなく、ハンジ先輩たちに何を返せるのだろうか。そう考えれば考えるほど、何も思い浮かばず、再び情けなく惨めな気持ちに支配されていく。

「…大丈夫、大丈夫だよ。」
「…ふっうぅっ…っつ…うんっ…うんっ…ありがとう…ごめんね、ごめんなさい…」

私は瞳から溢れ出る涙を拭うこともせず、シイナは私を強く抱きしめたまま背中を優しく撫で、「大丈夫」と何度も繰り返してくれた。

そして、私たちはただ黙って寄り添い合い、窓から吹き込んでくる少し肌寒い夜風に身も心も委ねていた。私のことなど、どうでもいい。それでも、いつか私を支え愛してくれている人が報われることを願い続けることしかできない。

しかし、それは私が逃げることをやめない限り真に報われて幸せになることはないだろう。それなら、どんなに傷つき、傷つけ続けたとしても、私は生きていく。

死んでしまっては、私のことを思い、考えてくれている皆のためにならない。私が生きているという事実が、少しでも「報われて幸せになる」という材料になればいいと思っている。

そして、死んでしまえば、あの人との「絆」の一つである大好きな空を見上げることもできなくなる。生きていれば、たとえ離れていても、見上げた空の下で必ず繋がっていられるのだ。

それ以上は望まないし、多くを望むべきではない。それが、矛盾した気持ちを抱えた身勝手な自分への罰なのだ。

私はそう思いながら、シイナに強く抱きしめられたまま、一度まぶたを閉じてから開き、相変わらず溢れ出てくる涙を拭うこともせず、滲んだ夜空を見上げた。

「(…ああ…大好きな空が滲んでいる…)」

心の中でそう呟き、苦しみと情けなさから「ごめんなさい」と呟きながら、まぶたを閉じた。

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