第6章 4。
私はふと二人に視線を向けると、彼らの表情は非常に不安そうで暗く、先ほどの子どもらしい天真爛漫さは影を潜めてしまっていた。それでも、再び二人を安心させるために、笑顔を浮かべた。
「大丈夫。私が今この場にいるのは、自分の意思だよ。」
「でも…」
私がそう言って二人に笑顔を向けると、二人は口を揃えて言い、戸惑いを隠せず私の顔色を窺っている。それでも私は夕日に照らされた二人の微笑みを見ながら話を続けた。
「いいんだよ。人を思いやることはとても素晴らしいことだけど、深入りし過ぎるのは良くない。キリの良いところで切り上げることも大切なんだ…って、難しいよね。これでも研究者の端くれなんだから、堅苦しいよね」
私は二人に苦笑いを浮かべながらそう言い、自分を飾り立てるのが上手くなったことに思わず笑みがこぼれる。昔の私は、こんな自分ではなかった。もう少し自分の言動に正直だった。
しかし、年を重ねるにつれて、自分の言動に責任を持つべき立場になった。現在、私を悩ませているのは「過去の自分」と「現在の自分」である。どちらの私も私自身であるにもかかわらず、まるで別人のように感じてしまい、苦々しく思っている。
私は現在、心に抱いた気持ちが大きく膨らみ始めていることを実感しながら、の家へ一歩ずつ歩みを進めている。誰かにこの足止めをしてほしいと願っているが、この場には私を止められる人物はいない。二人は私に笑顔を見せているにもかかわらず、どこか悲しげだ。
ここまで来てしまった。私のことは二の次にして、今優先すべきことは二人のことだ。自分の言動に責任を持ち、二人を守ることを最優先にしなければならない。
私にできることは限られている。実際、私の行動は裏目に出る可能性が高い。それでも、私にできることは、に対して「二人に文句を言うなら、私に言ってくれ」と、今さら先輩風を吹かせることくらいなのかもしれない。
「それじゃあ…」
私はそう言いかけて、咄嗟に片手を口元に当て、口をつぐんだ。今、私は何を言おうとしたのかと思考が絡まり合い、冷静な判断を冷静な判断を下せそうにない。どんなに冷静に物事を考えようとしても、次第に考えがまとまらなくなってきている。