第20章 18。
「お、おい!ミカサ!それじゃあ、兵長が口が悪くて暴力的だって…あ、いえ…あの…」
すると、エレンは慌ててミカサの言葉に苦言を呈したが、次第に語尾が尻すぼみになり、俺を見て動揺し始めた。
「いい、気にするな。根暗野郎の言う通り、リヴは俺に似てねぇよ」
俺は三人の様子を見ながら、エレンを安心させるために言葉をかけると、エレンはミカサと俺を交互に見ながら息を吐き、安心したように体の力を抜いた。
ミカサは、他の兵士とは異なりエルヴィンやハンジのように、俺にはっきりと意見を述べることがある。
エレンのことになると、周囲が見えなくなることを除けば、俺の指示にも忠実に従い、素早く判断を下して行動するため、あまり気にはしていない。
むしろ、臆することなく俺に意見を言い、行動に移す姿勢に、少し好感を抱いている自分がいた。
「で?他に何かあるのか?ないのなら、俺は部屋に戻る」
俺は一度その場に視線を巡らせ、そう 言うと、全員の視線が俺に集中した。そして、誰も何も言ってこないことを確認し、ティーカップの縁を持って中に残っている紅茶を一気に飲み干した。それから、静かに席を立った。
「あ、あの、兵長!も、もし…いつか…あの…」
その時、これまで聞き役に徹していたジャンが声を上げ、真剣な表情で俺を見つめてきた。しかし、その視線はこれから考えていることを言うべきか言わないべきか悩むように彷徨っていた。
俺はジャンを静かに見つめ、再びその場に視線を巡らせると、ミカサ以外の全員がジャンと同じように視線を彷徨わせていたのだ。
その様子を見てジャンが何を言おうとしていたのかを推測しながら、心の中で反芻した。そして、彼らの言いたいことを理解した。
きっと、やリヴたちに会いたいと思ったのだろう。
何度も考えたが、人類に心臓を捧げた兵士とは言え、彼らはまだ15歳の若者だ。今は任務に集中してもらい、落ち着いたら少し息抜きを与えてあげる必要もあるだろう。
「今は任務に集中しろ。この任務を無事に終えたら、時間を作ってやる」
俺は一度、その場にいる全員の真剣な表情を見渡して、そう言った。
「了解しました!」