第15章 13。
どんなに思い合い、愛し合っていても、所詮は血の繋がりがない他人同士だ。分かり合えない部分があるのは当然である。そのため、今リヴァイはが考えていることを理解できないのだろう。私にも理解できない部分が多い。
それでも、大切だからこそ、愛おしい気持ちが大きいからこそ、改めてしっかり向き合っての話を聞きたいし、話し合った上でできる限り理解したいと思う。
「(ああ…そうか、私は…)」
私は改めて自分の考えとリヴァイとのことを考えたとき、これまで抱いたことのなかった感情を抱き、困惑しながらその感情に向き合った結果、に腹を立てていたのだと理解した。私を傷つける分には構わない。
私は些細なことでを嫌いになることは絶対にない。なぜそう言いきれるかは自分でも分からないが、根拠がなくても「を嫌いになる」という選択は今後も絶対にない。
しかし、私にとって誰よりも大切なリヴァイとが傷つくことは、何よりも腹立たしく、我慢できない。私は「リヴァイを傷つけ続けている自分自身」と「が自分自身を貶めている」現実に非常に腹を立てていた。
「…君は、自分なりに物事を考えて行動に移しているつもりでも、少なくとも君が誰よりも守りたいと思っている人のことを―」
「守れていない…さんは何も誰も守っていない…と、私は思います」
「え…」
私の天井に手を伸ばし、握りしめたまま一人静かに呟いた。その場にいる全員は空気を読み、静かに黙り込んだ。しかし、これまで聞き役に徹していたミカサが私の呟きを遮って、口を開いた。
私はミカサの言葉に思わず拍子抜けしたような声を出し、天井に伸ばしていた握りしめた手の力が緩んだ。そしてミカサに視線を向けると、彼女は無表情で静かにテーブルの上を見つめていた。そして、一度深呼吸をして、話を続けた。