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空を見上げた。

第14章 12。



あの時、二人で無事に帰還できたことは、エルヴィンの言う通り「運が良かった」に過ぎないと理解している。あの場にいた巨人は、動きが鈍い巨人ばかりだった。

しかし、もしあの中に奇行種がいたとしたら、いくら入団時よりも戦闘経験を積み、体力も戦闘力も格段に向上したとは言え、人、一人を守りながら戦うことは判断を鈍らせ、命取りになりかねない。

現在は兵士長という立場になり、当時とは壁外調査に行く際の心持ちが全く異なっていると実感している。「犠牲を払うのは任務遂行のため仕方がない」「遺体を持ち帰れないのは当然」だと他の兵士にも言い聞かせ、自分自身にも言い聞かせている。

単独行動に出ることで引き起こされる事態は良いことばかりではない。一つの原因が二次被害を招きかねないのだ。今思えば、当時の自分は、非常に身勝手で危険かつ無謀な行動を取ったことが理解できる。今の俺なら、あの時のような行動は取らないだろう。

それでも、あの時は何も考えずに行動に移していた部分が多かったことは確かだ。「生きているのか死んでいるのか」定かではない中で、自分自身や仲間のことを犠牲にしても、自分の目で確認するまでは諦められなかった。

そして、「任務」に「私情」を挟んでしまった。俺は、あの時の自分の行動を後悔していない。しかし、後悔せずに済んだのは、二人で無事に帰還できたからだ。今思えば、当時の俺は兵士としてまだまだ未熟で、何の覚悟もできていなかったと思える。

俺は当時のことを思い出しながら、混乱した思考を整理しようと必死になり、冷静さを取り戻そうと奮闘する。エルヴィンの言い分も理解できる。

しかし、当時の記憶や言い分を掘り起こして議論しても、際限がない。エルヴィンは相変わらず冷静な態度を保ち、俺を静かに真っすぐ見据えている。

「確かに、今のお前と昔のお前は違う。しかし、あの時、お前は「任務」の中に「私情」を挟んだ。これまで、生きて帰れなかった仲間も、遺体を持ち帰ることができなかった仲間も大勢いる。その中では自分の命を失う覚悟もしていたはずだ。」
「言われなくても!そんなことは分かって―」

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