第11章 9。
私はその沈黙に耐えられず、気を紛らわすように視線を周囲に向けると、私たちがいる場所からあの「木」が見えることに気づいた。
私はただ黙って「リヴァイとリンの始まりの場所」であるその「木」を見つめていた。
「ねぇ…リヴァイ…」
すると、私は無意識に口を開き、彼の名前を呼んでいた。
今、私の心と頭の中は真っ白で、とても空虚だ。何も感じず、考えることができない。私はその空虚な自分から逃げるように、ただ、「木」を見つめていた。
「こんなこと聞いたら怒るかもしれないけど、なんでリンからの告白OKしたの?」
私は自分が口にした言葉に驚き、目を見開いた。そして、手で口を覆い、これ以上余計な言葉を発しないように意識した。しかし、私の性格上、胸に抱いた気持ちや疑問は一度口に出すと、もう遅い。私は答えを求め続ける。
「…お前が、知る必要がどこにある…」
「いいじゃないか、少しくらい。二人が付き合えたのは私のおかげでもあるんだよ?」
「頼んでねぇ。大きなお世話だ」
リヴァイは私が問いかけに対して素っ気なく返事をした。そして、彼がどんな返答をするのか待ち続けた。しかし、リヴァイは口を開こうとしない
私は思わず苦笑いを浮かべた。リヴァイは無言のまま広大な大地と果てしない夜空に視線を向けている。その視線の先には何が映っているのか、私には分からない。しかし、垣間見えた表情は少し穏やかであった。その表情を見れば一目でのことを考えていると分かった。
思えば、私はリヴァイがと付き合い始めた本当の理由を知らなかった。きっかけを作ってあげたのは私だが、肝心のリヴァイが彼女からの告白を受け入れた理由は知らず、なぜかそれを聞くこともなかった。