第3章 恋人
だから少し乱れが出てくると思っていたのだが、そのステップは弾むような軽快さがありつつも、綺麗で完璧であった。
「そうか〜い?小生は何度かこういう場に訪れてるから、覚えちゃったんだよねえ…ヒッヒッヒ…」
「そうか…」
2人は屋敷の扉を開け、外へ出る。外は驚く程に静かで、別世界に来たかのような気分にさせた。風が吹くのと同時に、木の葉の揺れる音が聞こえてくる。
自分にはああいう賑やかな場所よりも、こういう静かな場所の方があっているのかもしれない。
2人はしばらく黙って、空を見つめていた。
「ねえ。さっき僕を一晩借りるとか言ってたけど、僕はどこに連れていかれるの?」
星空を見上げていた目をアンダーテイカーに移す。
「ああ、そうだったねえ。」
そう言うと、アンダーテイカーは再びリリスを横抱きにして歩き出す。もうこの状況にも慣れてしまった。
「で、どこに向かうの?」
「着いてからのお楽しみさ…ヒッヒッ…」
2人は、時折会話をしながら目的地へと向かって行った。