お掃除係は生き方を決めている【進撃の巨人】【リヴァイ】
第2章 過去を振り返る
やがて、私たちをウォールシーナ内から追放した貴族の汚職事件が発覚した。その後、私たちは再びウォールシーナ内へと戻れる許可が出た
だが、私たちはここを離れない事を選んだ
私の父とグリシャさんだけでも、ここの医療は手一杯なのだから、離れるわけにはいかない
それに、エレン、ミカサ、アルミン達と離れるのも嫌だし。簡単に壁門を潜れて、その先にある自然をいっぱい感じられる、この場所が気に入っていた
だが、そんな日常は、理不尽に不条理に突然壊さされたのであった
845年
突如現れた超大型巨人と鎧の巨人によって壁は破壊された
私たちは避難に間に合い、ウォールシーナ内にある父方の祖父母の家に移り住むことになった
母方の祖母は壁門の近くに買い物に行っていたので避難に遅れ巨人に食われた
あの3人はどうしてるんだろう……それだけが今でも気がかりだ。生きていて欲しい
あの時はただ父親に腕を引っ張られて周りを確認する余裕さえなかったから
それ以降は引っ越す前の生活に戻った
父方の祖父が、父の病院の建物を保持してくれていたようだ
でも、私はあそこで過ごした数年間が忘れられない
反対側の壁を見て、向こう側にはまだ見ぬ自然が広がっているのだろう…などと考えていたあの時期が
「メアリ、訓練兵団に行きたいって?」
「うん、お父さん、もう決めたんだ」
「うちの家業を継いで、医者にならないのか?」
「いや、私は誇り高き兵士になりたい」
「わかった。ただし憲兵団になれなければ兵士はやめて家を継ぎなさい、分かったな」
私は調査兵団になるつもりだった。何もしない傍観者のままの無力な自分が許せなかったからだ
壁を壊されたあの日から、私は自分の生き方を決めた。自分で後悔しない生き方を
だが目の前の父親の空気から察するに、それを言ってしまえばかなり面倒くさいことになったはずだ
「うん、分かったよ」
そうやって嘘をついた。どうせ離れるんだ、向こうで私が何を選択しようが私の自由だ
あの自由の翼を思い浮かべながら、私は家を出た