She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第48章 婚約破棄計画
10分前に閉館した図書館には、まだ電気がついている。
職員通用口側の道路向かいにあるカフェのカウンターで、さっき図書館から借りた純愛文学を読みながら真珠を待っていた。
何人かの職員が通用口を抜けていくのを見届け、真珠の姿をとらえると、はちみつを足したオリジナルティーを飲み干して店を出た。
「マコト」
通りの邪魔にならないところに避け、携帯を取り出した真珠に声をかけた。
「待たせてごめんね」
「気ぃせんとって」
好きで待ってんねから、とトートバッグを肩にかけた真珠の手を握ろうとした手を自身の通学鞄へと方向転換した。
「3枚でええんよね?」
「すみません、わがままを言って」
侑士が差し出したのは、「氷帝学園高等部」の校章が印刷された薄青の封筒。
氷高祭って、一般公開する?
昨夜、メッセージで聞かれ、2日目の家族公開に母と姉と来るかと聞けば、実は、と真珠から聞いたのは、自分に会いたがっている友人がいると言う。
「マコト、土曜と日曜日、両方来るん?」
「うん、そのつもり」
「土日は、委員の仕事無いさかい、案内したれるよ」
「ほんと?」
嬉しい、と笑った真珠は、あ、でも...と言った。
「えっと、その...留学生さんは...?」
「なんや、来る人数減ったらしくて、他んクラスと合同対応になった言うたやろ?
向こうのクラスの男ん方の委員、そな積極的ちゃうし、来るんも女の子やから、当日は女の子の委員に任せよかと思うとって...」
「ああ、『サオリ』さん?」
「...そぉや」
「大変だね」
ん、と真珠の手から封筒を引き抜いて、トートの隙間から差し込むと、空いた手と繋ぐ。
「気まずいんは気まずいんやけど、まあ、ネチネチしたやつちゃうし、中等部ん時事やし、今さら掘り返してもどないせぇ言う話やし...
テレーゼからはなんも言わへんし、こっちから話すんも変やし...
ビデオチャットは授業の合間しかせんし、一応、メッセージのやり取りはできるんやけど、先生の監視あるし、恋人がおるやのどうやの言う話はしづらいし...」
「先生たちは、知らないんだよね?
その、婚約のこと...」
「知るわけ無いやろぉ。
確かめたわけちゃうけど、知っとったら手前でなんやあるはずやわぁ」
そっかあ、と夕暮れの道を並んで歩く。