第1章 HappyBirthday〜2025.12.25〜
―――夜会会場
「リヴァイ、令嬢にはちゃんと愛想よくするんだぞ?」
「あ?」
エルヴィンに連れられて伯爵家の令嬢の招待を受けたリヴァイは誕生日当日、豪勢なパーティ会場に来ていた。
酒やワイン、彩られたサラダに肉といったなんとも贅沢な食材が豊富にテーブルの上に飾られていて食糧難の調査兵団とは雲泥の差だ
酒は嫌いじゃねぇがどうも気分が乗らない
その理由は一目瞭然だ
つい最近恋人になったばかりのアイツの顔が頭から離れない。
アイツは、ユキは…調査兵団にきてからずっと俺の背中を追いかけてきた古参でもある。
穢れを知らず、純粋で真っ直ぐで、飲み込みも早く今では頼もしい俺の右腕になりつつある。
その直向きさに胸打たれて気付けば目で追うようになっていたのは今思えば入団してすぐだと思う。
同じ兵士として、死ぬまで俺の背中を追い続けて生きて側にいてくれればいいと、特別な目で見る事に気づかないフリをしていた。
が、突然兵士長室に入ってきた途端告白されて、正直、開いた口がふさがらなくて間抜けな顔をしていたと思う。
だが、一途で真っ直ぐな性格は知っていたし、ずっと好きだったと…嘘ではないと思った瞬間込み上げてきたのは一人の男として、
俺もコイツの事が好きなんだと昂る、感じたことのない特別な感情だった。
おそらく振られる覚悟で来たのであろうユキは顔を赤くしたり青くしたりと忙しない様子だったが、そんな顔をさせているのが俺だけなのだと自覚した瞬間愛おしさが増して二つ返事で頷いた。
だがここで問題が1つ。
ユキがまだ年端もいかぬ少女だということだった。
別に自分の性格上、すぐに押し倒して行為に及ぶことなど造作もないことなのだが・・・・その事実がどうにも行動を抑制する。
そして年だけじゃない。
今まではなんの感情もなくてもこうして令嬢に呼ばれればすぐに抱くことだって出来たのにユキにはそれが出来ない。
好きだという感情があるのとないのとではこんなに気持ちが違うものなのだと戸惑うばかりだ。
ならばせめて、ユキが20歳を迎えるその日まで待とうと思いキスや手をつなぐことすらしなかったというのに…。
そしてやっと巡ってきたその日。
初めて自室に連れ込もうと思った矢先にこの夜会だ。
そんな気分で愛想なんか振る舞えるか。
