第1章 HappyBirthday〜2025.12.25〜
"へぇ、そうか。なら貰おうか。俺が今、一番欲しいもの"
"―はい、何なりと…!"
"それは————………"
―――――――――ユキと共に過ごせる時間と、ユキの心
白い雪が舞い落ちる
空から降っては地を覆って、溶けても降ればまた同じ景色に戻る。
その繰り返し
だが、ユキと共に過ごすこの瞬間、この時間は・・・・消えたらもう戻ることはない
変わらぬ景色、
広がる光景、
変わり映えしない白く広がる銀世界は、まるで世界を浄化するように・・・穢れた地をおおい隠す色なのだろうと、いつか思ったことがあった。
・・・・まるで、自分の心をおおい隠しているようだと
そんな中から生まれた唯一の光
俺の光
これからは1つ、命の火が増えるたび心は熱く灯るだろう
柄にもなく、同じ日に生まれたことを嬉しく思う
同じ世界を生きて、こうして最愛として巡り合わせてくれた聖なる日に、これからもお前と共に祝福し合い、どちらかが死ぬまで同じ時を刻みたい
「ユキ・・・・・誕生日、おめでとう」
ずっと言えなかった祝福の言葉
一日遅れで、眠ってしまったコイツに届くことはないが、やっと言えた
最初は、仲間たちが祝うなかでもその距離感に、上司という立場に決して言うことは許されなかった言葉…
それが今、ようやく言えるようになり、許される存在になった
―――848年
空から降ってきた雪は、俺だけの結晶と光になり、形を変えて
俺に幸福を齎してくれた
この温もりが、永遠に失われないように強く抱きしめよう⋯
この光が俺の前から溶けて消えてしまうことがないように、強く⋯強く⋯
今度は、お前の口から聞きたい
「愛してる」
――――――永遠に続く祝福の言葉を
―――翌年 849年
すべての運命が動き出す年
首から揺れる、雪のように白いクラバットを締めて2人は共に手を取り合い戦い続けた
―――――その命、尽きるまで
〜Fin〜