第1章 未来との邂逅
急上昇する飛行機から一つの影が降り立つ。
ジュリーが身構え、倒れたアレックスも己の力で上半身を起こす。
夜梟か豹斗鷹か。
着地したのは成人女性だ。
「貴女は誰!?」
ジュリーが問いかける。血の武器は使えない。夜梟は消えてしまったのか。
女は紫の瞳をジュリーとアレックスに向けた。
『私は夜梟でもあり豹斗鷹でもある。別の未来から来た私だ』
「別の未来!?」
ジュリーはいくつかの未来を経験した。アレックスに殺された未来、飛行機が墜落した未来。
女はジュリーに頷き、アレックスの傍らに膝をつく。
「未来から俺を殺しに来たのか」
『それは違う。アレックス、君に新しい未来を見せるために来た』
「新しい未来……だと?」
『君の家族を、リサを救い出す方法。私は、私の技術ではあれ以上の過去には戻れない。しかし奴に出来るのならば他の者にも出来る、あるいは出来るようになるはずだ』
「でも夜梟が最後の生き残り……だったんでしょ?」
『その通りだジュリー。しかし私がここにいる以上、その先へ進むこともできる』
女は夜梟らしい機械的な喋り方とは対称的に優しくアレックスの血塗れの手を取ると己の腹部に触れさせた。
『アレックス、君と私の子どもだ』
「「……ハァ!?」」
初めてジュリーとアレックスの声が重なった。