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君と悪循環を抜けるために私にできること

第6章 これからについて


明らかにアレックスの夜梟に対する態度が変わった。
恋人や未来の妻にする態度にはまだ程遠いが、少なくとも厄介者や異物ではなく人間として扱うようになったように見えた。
漸く観念したかというのが稀少体一同の大体の感想だった。
「……気に食わんな」
アレックス本人は変わったつもりはない。しかし憑依されていた時のように無意識に影響されているのかもしれない。厄介なことだ。
「厄介と言えば……」
野狗子の殲滅という目標一旦据え置かれる状況になってアレックスには気になることがあった。夜梟を呼べばカルテを整理していたところで素直に診察室に来る。
「お前の記憶にあった今回の件の首謀者……」
『DDのことか……私も気にかかっていた』
どこから来たのか、何の目的があったのか。善意で夜梟たちを助けようとしたならば宗主のように振る舞い危険性を提示した夜梟を裏切り者として排除した理由がわからない。かといって野狗子を現代に放つためだとしたらその目的は何なのか皆目検討もつかない。
『もしかしたらDDは私たちが封じた』
「お前はそいつをどう思っている?」
『……どう、とは?』
思いもよらぬ疑問に夜梟は首を傾げる。始めは完全に詰みとなった未来を打開する知識と能力を持った相手だと思っていた。しかしその目標が己と解離していることに気付き止めようとして、できなかった。これは夜梟の罪だ。だからDDの目的を阻止しなければならない。野狗子の殲滅もその内の一つだ。
「あまり入れ込みすぎるな」
俺のようになるぞと諭されて夜梟は神妙に頷いた。
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