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君と悪循環を抜けるために私にできること

第4章 朱莉と未来ついて


新装開店した料理店でランチをしながらジュリーと夜梟はとりとめのない会話をしていた。
「野狗子が最初からいなければミシェルさんや銀月もあの家族も誰も辛い目に合わずに済むんだよね」
アレックスとばかりいると危険だとジュリーは暇を見て夜梟を連れ出す。
夜梟自身もジュリーと対話することを好ましく思っていた。アレックスは何も言わないところを見ると以前戦ったことにそれなりに負い目を感じているのかもしれない。自分以外の稀少体を排除していた世界を考えるとかなりの進歩だ。
『金麒麟や愛鳴會は野狗子とは別の問題を抱えていた。単純に状況が改善するとは思えないが』
「またそういうこと言う」
不満げなジュリーに夜梟は口の端を僅かに上げる。彼女といると表情が変化するのは未だ影響を受けやすい性質があるからだろう。だとすると自信に満ちているように感じるのはアレックスのの影響か。
『少なくともこの世界の人々の手に問題を委ねることができる。私ができることはそこまでだ』
「後はアニタや銀月の問題ってこと?」
肯定するとジュリーは考え込む。彼女の前向きさは非常に好ましく見習うべきだと夜梟は考えている。野狗子を含む未来人がいなくなっても九龍の問題は解決しないが、彼女たちの力でより良い未来へ進んでいけるだろう。
静かに腹を撫でるとジュリーが目敏くとらえた。
「そういえば男の子か女の子かわかってるの?名前は決まってる?」
『アレックスが考えている。君が私に夜梟とつけたことに嫉妬しているようだ』
「えっ、アイツが!?」
やはり未来のアレックスと今のアレックスが違いすぎて驚きを隠せない。数年でこれだけ変化するのだから不思議だ。
『ジュリーも変化しただろう』
「まあ……確かに?でもねえ」
それからもしばらく二人は会話と食事を楽しんだ。
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