第5章 好感度の距離
やっぱり呪文がいるのかな…?
「……痛みが」
触れて1,2分だろうか。触れていた兵士が突然身体を起こし、自身の吊られた足の包帯を取り始めた。
「え?これ、治ってますよね?」
グルグル巻きになった包帯がほどけていくにつれ、セドリが兵士の寝台に手を置き前のめりになりながら呟いた。
包帯は最後まで取れたが、足に傷などは見当たらなかった。
「えーと、治ったんですかね?」
勢いでやってみたはいいけれど、最初に傷口がどうなってるかを確認をしてなかったので聞きなおした。
「っっせ、聖女様は治癒士様でいらしたんですね!?」
「ありがとうございますっ!聖女様っ!!!」
セドリが大きな声で言ったあと、兵士はベッドで土下座をした。あ、この世界も土下座ってあるんだな。
「まだ私も実感わいていなくて……もう何人か見せてもらってもいいですか?」
「ええ!もちろんですっ!聖女様!!」
「あの…でも、ちゃんと治癒士様?にも確認してもらってくださいね」
セドリくんにお願いをしたあと、部屋にいる兵士の人たちを、お医者さんのように向き合って患部を順番に診せてもらう。
今度は兵士の方々の包帯を外してもらい、傷口を目の当たりにするとなかなか結構グロい。
何があって、どうしてこんな怪我になったのかなんて、怖くて聞くに聞けない。
私は医者でもないし、テレビで見るような映像とは違い、他人の怪我を近くで見るのは見るのも匂いにも少し抵抗はあった。
それでも、治れ、治れを願うと次第に消えていく傷。私は心の中でじんわりと温かいものを感じた。
それは治癒が出来た達成感なのか、治癒にかかった自分の魔力なのか、経験のしたことのないことを実行しているせいか、自身のことなのに表現しきれない感覚だった。
4人目の兵士の方を見ているときだった。
「もう終わり」
兵士に振れていた手を後ろから掴まれたかと思えば、そのまま後ろから身体ごとを起こされる。
背中の温かい感覚に顔を向けると、舘様が私を見つめていた。