第5章 好感度の距離
ちっかっ!!
自分の背後に立っていたのは知っていたけれど、座ったまま振り向くと舘様との想像以上の距離に驚く。
「だっ、舘様…」
「体調、大丈夫?」
「え?私ですか?だいじょ…」
舘様の真剣な顔つきにドキドキしながら答えようとすると目の前が立ち眩みのように景色が歪む。
椅子から倒れる前に舘様が私の腕を支えた。
「わっ、だ…舘さま、ち、ちか、近いです」
「そうゆう問題じゃなくて…。
顔色よくないよ。わかんない?」
「わ……わかりません」
それより近い。ひぇ…
舘様は私の顔色を確かめながら、自身の眉を寄せた。
あ、この顔は見たことある。割と皆さんに私がさせている顔だ。
扱いに困っている顔。
「ごめんなさい。舘様」
「いや……別に怒ってるわけじゃない。いや、怒ってるのかも。急に救護室に行きたいってついて来てみたら突然、試し始めるし、急に聖女っぽいことしだすし」
「私も半信半疑で…いえ、すみません。ごめんなさい」
だからちょっと離れて欲しいと言いたくても、舘様の真剣な表情にモゴモゴと答えてしまう。
「わかってないでしょ?」
「……ひゃい」
結局、変な返事が出る。
だって、なんかちょっと乱暴な言い方の舘様がイイ。
とか思ってしまう私はダメ人間だ。
そんな様子の私に舘様はふぅと小さくため息をついた。
「まぁそうゆうことなので、帰ります。
見たこと起こったこと。報告するのは勝手だけど、あまり大げさに騒がないでね。
行こう葵ちゃん」
「あ、え……あっお待ちください!勇者様」
「ナニ?」
「あっありがとうございました!」
「俺は何もしてないよ。もう帰るからついて来なくていいからね」
セドリ君からのお礼に不機嫌そうな舘様が答える。返事と共に掴んだままの腕ごと私は抱えられながら部屋を出た。