第5章 好感度の距離
話を聞けば、この国では10歳から魔力や戦闘などの適正能力を調べ、一定期間を過ぎると各所へ働きに出る。
ヒーラー、治癒士と呼ばれる人間は国に現状4人しかいないらしく、しかもその中の一人はかなり高齢。お城には定期的に国に現状3人しかいないヒーラーが王様の往診と共に診療所にも来るらしい。
「次の討伐の日はご一緒になると思いますよ」
「そうなんですね…」
セドリは話し出すととても大人びている。自分たちの世界ではまだ子供だけれど、こちらではそれが普通なのかもしれない。15歳で3年ここで働いてるそうだ。
治癒士が少ない分、看護師のような補助の職業は子供を含めて人数がいるようで、部屋へ向かう廊下では多くの人とすれ違った。
「ここでは長期的な療養は行ってはおりませんが、主に城で働いている兵士の怪我の治療を行っています」
「声かけてもいいですか?」
「えと…患者に、でしょうか?かまいませんが…」
私は最初の部屋へ入り、足が包帯が巻かれている兵士に挨拶をして、話しかけた。
彼は魔物討伐で足に怪我を負い、ヒーラーからの治癒待ちだそうだ。
ヒーラーは患部に手を当てて、呪文のようなものを呟くらしい。
呪文がいるのかな…。
「ちょっと試してもいいですか?」
「え…えっと。ど、どうぞ」
いきなり現れた聖女とか呼ばれている人間がいきなり何を試すのかって、不思議そうに部屋にいる全員の視線が私に刺さる。舘様は隣に寄り添ってくれている。
私は包帯が巻かれている患部へ手のひらを向けて、心の中で治れ、と念じてみた。
「…………どう、ですか?」
「どうとは…何でしょうか?」
聞き返される悲しみ。治らないんかいっ!
1人心の中でツッコミを入れて、恥ずかしくなって自身の顔に手を当てた。
「も、もう一回試していいですか?」
「はぁ…」
「今度は触ってもいいですか?」
「えっ!?触るの?」
触っていいかと質問をすると、今度は兵士の方ではなく、舘様が私に聞いてきた。
「はい。試してみたいんです」
「そっか…」
私は兵士の方の包帯が巻かれている部分から少し離れた肌へ手を当てて再び念じた。
治れ、治れ、と念じるのを集中し過ぎたせいか、触れている部分が少し熱を持った気がした。