第26章 事変
子供らしからぬ発言をする野薔薇ちゃん。
今思えばあれは誰かの受け売りだったんだと思う。
例えば、お母さんとか。
だって子供らしからぬ言葉を言ったかと思えば「秘密基地を見つけた」と言って「今日からそこに住むんだー」と子供みたいな発言もしていて。
ちぐはぐな彼女を見れば、そうなんじゃないかなって思ったの。
真っ白な絨毯の上を足跡を付けて走った。
雪の上を走るのは滑って転んでしまうのではないかって怖かったけど、野薔薇ちゃんがぎゅっと私の手を握ってくれたからそんな感情はいつの間にか消えていた。
それに怖いと言う感情よりも嬉しいという感情の方が勝っていた。
野薔薇ちゃんの言う秘密基地とやらに私も入れてくれるんだと思うと、彼女の中に私がいるんだとわかって、すごくすごく嬉しくなったの。
「ここ!!」
野薔薇ちゃんに連れられて辿り着いた秘密基地は、他人ひとの家だった。
大きなお屋敷はこのド田舎では滅多に見ない。
大きな玄関に、沢山ある窓。
どこからどう見てもお金持ちの人が住む家にしか見えなくて、玄関から出てきた女性もすごく綺麗で緊張したけど、隣ではしゃぐ野薔薇ちゃんを見たら、緊張もほぐれた。
「あがって」
春に咲く柔らかいお花のような笑顔も、私の緊張をほぐしてくれたんだと思う。
私より後にこの村に越してきたこの人は沙織ちゃんと言って、いうも突然訪ねてくる私達を嫌な顔一つせず迎え入れてくれた。
そうだ……。
沙織ちゃんはいつも家にいた。
そのことに、私たちはなんの疑問も抱かなかった。