第26章 事変
「野薔薇ちゃんは、よく私の家に来るけど他のこの家で遊んだりしないの?」
学校の休み時間。
不意に思ったことが口から漏れた。
野薔薇ちゃんは一度目をぱちくりとさせると、「遊ばないよ」ときっぱり答えた。
理由を聞いたら「気持ち悪いから」と言われた。
意味が分からなかったけど、一つだけ分かった事は野薔薇ちゃんは村の人たちが嫌いだと言う事。
「狭ぇ村だからさ。友達になるより他人になる方が難しいんだよ」
良いことじゃないかと私は思った。
数年経って近所のお婆ちゃんが赤飯を炊いて持ってきた時、野薔薇ちゃんの言っていたこと、その気色悪さを理解できた気がする。
親切心からくるものなんだろうけど、入って欲しくないプライベートな部分にまでズカズカと無神経に土足で踏み込んでくるのが、嫌だった。
多分野薔薇ちゃんも同じ気持ちだったんだと思う。
そして気が付いたんだ。
みんな水色のランドセルが嫌いだったんだじゃなくて、水色のランドセルを背負っていた私の事が嫌いだったんだと。
そんな私を見たからなのか、それともただ単に本当に水色のランドセルが欲しかったからなのか、野薔薇ちゃんは私に話しかけてきたんだ。
きっと前者だろう。
本当に欲しかったら、野薔薇ちゃんの性格ならずっと返さずに背負っていると思うし。
それは言いすぎかな?
野薔薇ちゃんは優しい子だから、私を村の人たちから除け者に差せないために話しかけたり家に入り浸ったりしたんだろう。
もしかしたら村の同調圧力から逃れるためだったかもしれないけど。