第26章 事変
野薔薇ちゃんは私と違ってすごく活発で思った事をなんでも口にする子だった。
いいものはいい、悪いものは悪い。
その素直さが、私は好きだったんだと思う。
わんぱくすぎて先生に怒らる事もしばしばあったけど、でもそれでも私には眩しくて。
貸したランドセルはその日の放課後には戻ってきた。
自分のランドセルを蹴り飛ばして「ランドセルって嫌い」と軽く放つ野薔薇ちゃんに、心臓がドクドクと変に脈打った。
ちゃんと物は大切にしなくちゃ駄目だよって言ったら「嫌いなものは嫌い。無理に合わせるとか気持ち悪い」と言って「どうせいつかは使わなくなるよ」とも言ってた。
私はその意味を当時は全然理解できなかった。
その頃から野薔薇ちゃんは野薔薇ちゃんだった。
いいものはいいと言って、悪いものは悪いとハッキリ言える。
素直な女の子。
そんな野薔薇ちゃんを私はずっと好きで、そんな野薔薇ちゃんと友達になれて嬉しかった。
野薔薇ちゃんはその日から家に入り浸って、よくお父さんとスマブラをしていた。
私は二人がゲームしている姿を後ろから眺めているだけだった。
「死ねオラァァァ!!」
テレビから聞こえる殴る蹴るの音や、何かが爆発する音、様々な音が聞こえる中、野薔薇ちゃんの罵声が家の中に響き渡って。
それが一週間も続けば日常となって。
お父さんとスマブラをしている野薔薇ちゃんは楽しそうだった。
いつか絶対勝ってやるんだって意気込んでいて。
ゲームのことはあまり詳しくなかったけど、彼女の無邪気に笑う顔が見れるなら、私もゲームをやってみようかななんて、そんなことも考えたりして。