第26章 事変
――ふみside――
【六年生まで使うんだよ?本当にいいの?】
お母さんにはそう言われたけど、私は水色のランドセルを選んだ。
パステルカラーの。
小学校に上がると同時に東北のド田舎の辺鄙な土地に引っ越してきた。
両親は田舎の不便を心配していたが、私は友達と離れ離れになるのが嫌だった。
全校生徒19人。
一クラスじゃない。
全校だよ、全校生徒が19人。
それくらい過疎化している地域で、みんな赤か黒かのランドセル。
私は赤も黒も好きだったけど、皆は水色が嫌いだったみたい。
今思えば、皆と色が違うというところが気に食わなかったのかなと思う。
目立っていたし。
でも当時の私は、「みんな水色が嫌いなんだー」くらいにしか思わなくて、そう思っている人が大半だったのに、あの子だけは。
野薔薇ちゃんだけは違った。
「交換しよっ」
私のランドセルを欲しがった。
びっくりした。
開口一番そんなことを言ってくる人なんてほぼいないだろう。
「交換!!しよっ!!」
目をキラキラと輝かせて、自分の欲しいと思ったものは自分の物にしたいのか分からないけど、第一印象はジャイアニズム。
これだった。