第3章 気に食わない子
『…あ、もうこんな時間か…』
作戦室の時計を見れば、もう夜になっていて慌てて帰る準備を進める。
((コアラと奥寺、まだランク戦やってるのかな…元気だこと))
荷物をまとめ終わり、さあ帰るかと椅子から立ち上がればちょうど誰かが入ってきたのか、作戦室の扉が開いた。騒がしくないあたりコアラではなさそうだ。
東「おお美晴、こんな時間まで課題か?あまり無理するなよ」
『お疲れ様です東さん。ご心配なく、もう帰るところでした』
東「そうか、ならいいんだが…そこで二宮に会ってな。お前を呼んでたぞ」
『二宮さんが…?分かりました…とりあえず行ってみます。お疲れ様でした東さん』
東「ああ、お疲れ」
重い足取りで東さんに教えられた場所へ向かえば、腕を組みながら私服で待つ二宮さんを見つける。
((二宮さんからの呼び出し…昔なら、飛んで喜んだのに))
『…お疲れ様です二宮さん』
二宮「来たか。急に呼び出して悪いな」
『いえ…何かありましたか?』
二宮「今から玉狛第二に鳩原の話を聞きに行く。お前も来たければ来て構わない」
『え…、……それって姉の件に玉狛第二が絡んでるかもしれないってことですか?』
二宮「それを確かめに行くんだ。雨取麟児の話はしたことあるな?」
『姉と近界にいった人の候補の1人ですよね』
二宮「玉狛第二の狙撃手の苗字が雨取らしい。在り来りな苗字ではない、何かしらの関係はあるだろ」
『…私も、行きます』
二宮「じゃあ着いてこい」
『はい』
二宮さんの後に続き玉狛支部に向かう。初めて目にした玉狛支部は本部に比べればこじんまりしていて、所々レンガが剥き出しになっている等の老朽化も伺えた。
インターホンを押せば宇佐美先輩が出てきて、二宮さんが要件を告げれば応接室に案内される。
二宮さんの隣で出されたお茶を頂いていれば、雨取さんがやってきて緊張したように私たちの正面のソファに腰掛けた。
雨取「は、初めまして。雨取千佳です」
二宮「二宮隊の二宮だ」
『…東隊の鳩原です』
二宮「詳しい話は三雲が来てから始める」
((三雲…?))
雨取「分かりました…」
しばらくそのまま待っていれば、応接室の扉が開き眼鏡の少年。ログで見た三雲隊の隊長がやってきた。
((この子にも用があったんだ))
雨取「…!修くん」