第6章 過去の話
二宮さんが、姉の為に遠征を目指してくれてたのは知ってた。人が撃てない、戦闘員としては論外の姉を連れて遠征に行くために上に掛け合って、A級1位を目指してたのも。全部全部知ってた。
鳩原「皆、そう言ってくれたけど…やっぱり申し訳ないなって思っちゃうの」
『…別にいいんじゃない?二宮さん達がそう言ってるなら本心でしょ。嫌なら嫌って言うよ。二宮さんも犬飼先輩も』
鳩原「でも…遠征に行きたいのは私だけだし…」
『じゃあ…!……なんでもない』
鳩原「…?そう?」
何度も思った。そんなウジウジ考えるなら、その場所を私に譲れって。私なら人も倒せるしA級3位のチームの実力もある。姉ではなく私だったなら、選抜を弾かれるなんて起きなかったはずだ。
そして、姉が近界に姿を消したのもそのすぐ後だった。
『ごめんなさい…!本当に…すみませんでした!!』
二宮「顔を上げろ。お前のせいじゃないだろ」
『……家族の不始末は、私の責任でもあります』
姉が姿を消した翌日、ボーダー全体に通達が入った。
"組織の機密に関する重要規定違反により鳩原未来隊員を懲戒解雇処分とする"
"二宮隊にB級への降格処分と2期の昇格停止処分を科す"
『自分勝手に規定違反しただけじゃなく、二宮隊の皆さんに迷惑をかけてしまいました。姉の代わりに謝罪します。申し訳ありませんでした』
その一週間後くらいに、またA級から降格処分になった部隊があった。
『…え?影浦隊がB級に?なんでまた…影浦先輩最近大人しかったでしょ』
菊地原「それが、広報部隊にさせろって根付さんに打診したら何かが気に障ってアッパー食らわせたんだって」
歌川「影浦隊が広報に?それこそなんでまた。性にあわないだろ、特に影浦先輩は」
菊地原「さあね」
その話を聞いて、直ぐに「ああ、姉のせいだ」と腑に落ちた。
影浦隊に広報をしたいなんて思う隊員は1人も居ない。それなのに広報部隊になりたいなんて、考えられるのは一つだけだった。
姉さん。ねえ、貴方は一体…どれだけ人に迷惑をかければ気が済むの?
『……風間さん。私、風間隊を抜けようと思います』
風間「何故だ?」
『納得できないんです。二宮隊が降格になったのに、私だけA級なんて…筋が通ってないと思います』
風間「そうか…許可しよう。だが、戻りたくなった時は何時でも戻ってこい」
