第6章 過去の話
二宮「断る。攻撃手は辻だけで十分だ」
『ですよね、分かりました。では私が東さんみたいな狙撃手になれば二宮隊に入れてくれますか?』
二宮「…例えお前がNO.1狙撃手になったとしても、うちに入れるとは限らない。大人しく風間隊に戻れ」
風間隊を抜けたその足で二宮さんの元へ行き、自分を隊に入れろと直談判した私に二宮さんはそう言った。でもこれは想定の範囲内。
『諦めませんから、私。いつか姉よりも凄い狙撃手になるので、その時まで考えといてください。出来れば前向きに』
二宮「好きにしろ」
『ありがとうございます!』
二宮さんからその答えを聞ければ、後はあの人にとある事をお願いするだけだった。姉の師匠で、二宮さんが1番評価している狙撃手。二宮さんに必要とされる狙撃手になるためには、その人に教えを乞うのが一番早いと思った。
『東さん、私に狙撃を教えてくれませんか?あと、東隊に入れてください』
東「え、狙撃を教えるのはいいが…風間隊はどうした?」
『抜けてきました』
東「抜けてきたって…ランクは?A級ソロって扱いだろ?他の隊に所属しながらでも狙撃は教えられるぞ」
『上にお願いしてB級に戻してもらいました。それに、狙撃だけじゃなく、チームをまとめる東さんの手腕全てを盗みたいので、なるべく近くで見ていたいんです』
東「…分かった。今日は一旦持ち帰って隊のメンバーで1度話し合ってみるよ。結果が出たらこちらから連絡する」
『ありがとうございます』
その数日後、東さんから連絡が来て私は東隊に所属することに決まった。
私は姉のようになりたいわけじゃない。私が目指すのはそれよりも上。二宮さんの狙撃手の理想が東さんなら、私は東さんのようになりたかった。
東さんから狙撃や狙撃手の基本を学び、それとは別に東さんの知識や考えも全て研究して自分に落とし込んだ。
「ほら、あの人だよ。A級からB級に戻ったって人」
「はあ?なんでわざわざそんなことしたんだ?」
「さあ?ランク戦で格下ボコして楽しんでるんじゃね?」
「うわ〜無いわ」
陰口は聞き飽きた。菊地原とかは怒ってくれたけど、別に私はその言葉達に怒りは覚えなかった。だってB級に戻ったのは本当だし、その理由は誰にも理解できないだろうから。
姉の事で精一杯なのに、ここから更にまた憎む人が増えるのも精神的に辛かったしね。
