第6章 過去の話
あのランク戦から数日後、狙撃手の合同訓練も終わり学校の課題に手をつける前にラウンジでお昼を食べていた。
菊地原「大人気なかったね。あの試合」
『……小言言うためにわざわざ来たの?ラウンジ嫌いじゃなかった?』
菊地原「君がいた頃よりは陰口は減ったし」
『あっそ』
そう言いサンドイッチを頬張る菊地原を無視して私もパスタを口に運ぶ。
菊地原「ねえ、まだ戻る気ないの?風間隊」
『そう言われて戻るって言うようならそもそも抜けてないよ。覚悟決めてんの覚悟』
菊地原「それはそうだけど、やっぱ向いてないよ。狙撃手」
『だよね。私も向いてないと思う』
サラッとそう言えば、菊地原は呆れたように私をジトッと見た。
『狙撃手に転向するにしろしないにしろ、風間隊抜けることは変わらなかったよ。不公平じゃん。あの人たちがB級に落ちたのに、私だけA級なんてさ。妹だし、私』
菊地原「それはそうだけど。じゃあなに?狙撃手に転向したのは二宮隊に入るため?」
『そう。元々入りたかったし、ちょうど良かったよね』
菊地原「じゃあまた断られたら教えてよ。こっちは何時でも4人に戻る準備できてるし」
『断られる前提で準備するのやめてくれない?』
そう言うと菊地原はサンドイッチを咥えてラウンジを出ていく。その後ろ姿を睨みつけ、見えなくなったところでまたパスタを食べ始めた。
そう、私は二宮隊に入りたかったのだ。
…
そもそも私がボーダーに入ったのは、姉が入るから、弟のため、その2つが大前提ではあったが、二宮さんに憧れたというのも理由の1つだった。
幸い私は運動神経もよく、才能という物もあったようで同期の中では1目置かれる存在だったと思う。もちろん努力もしていたし、実力を鼻にかけることはしなかった。
そんな私は自分を二宮さんに売り込んだけど、結局選ばれたのは姉の方だった。後から考えれば、メンバーの構成的に攻撃手の私より狙撃手が欲しかったんだと思う。射手に銃手、攻撃手2人なんてバランス悪いし。
姉が選ばれたから、私は諦めたんだよ。他の狙撃手だったら許せなかったかもしれないけど、姉だから自分を無理やり納得させた。
勘違いしないで欲しいけど、風間隊の事は大好きだよ。選ばれなかった私を選んで、高みに連れてってくれたから。
それはそれ、これはこれってこと。