第5章 B級ランク戦ROUND4
奥寺たちと辻先輩達が戦闘を繰り広げる中、東さんの対角から三雲くんを見る。私たちの狙いは最初から彼だったから。
『三雲、射撃の体制に入りました。奥寺とコアラは背後注意。東さん、三雲は今フルガードありません』
東「了解」
東さんの返事から数秒後、東さんの壁抜き狙撃が決まり三雲くんが緊急脱出する。壁抜きは射線がズレるから当てにくいのに流石としか言いようがない。
人見「命中です!」
東「美晴、俺は場所を移動する。その間奥寺達のサポート頼む」
『了解。いつでも狙撃出来ます』
私は油断していた。あの子は姉に似ていたから。撃てないと、そう思い込んでいたんだ。すぐ近くから物凄い威力の狙撃が飛んでいくのが見え、すぐにあれが雨取さんの狙撃だと分かった。
『奥寺!コアラ!大砲!!』
時すでに遅し。大砲は学校に直撃し、建物は半壊。初めて生で見た威力にドン引きする。
『トリオンどんだけあんのよ……人見さん、2人は?』
人見「生きてるわね。とりあえず無傷」
小荒井「死んだかと思った」
奥寺「玉狛の狙撃手は人は撃てないんじゃなかったか?」
『……克服したか、やけくそでしょ』
((でも、一つだけはっきりした。あの子は、姉とは違う))
『とりあえず、居場所は分かった。東さんと私が60m圏内に居るから緊急脱出は出来ないと思う』
東「意外と近くにいたな。取りに行くぞ」
東さんの指示に『了解』と返し、何時でも狙撃できるように雨取さんをスコープで追う。犬飼先輩と辻先輩が追い、その後ろを奥寺達が続く。そしてそこに空閑くんも合流する。
空閑くんを辻先輩が足止めし、犬飼先輩が雨取さんに追い付くその瞬間、狙撃が犬飼先輩を捉える。
((今の…絵馬?))
狙撃により負傷した犬飼先輩は影浦先輩にトドメを刺され緊急脱出。このままでは雨取さんの周りに隊員が居なくなり緊急脱出を許してしまう。
『逃がさないよ雨取さん。人を撃つお手本見せてあげる』
アイビスの弾丸が雨取さんの体を貫き、雨取さんはそのまま緊急脱出する。ガードされたらトリオンの差で弾かれたかもしれないけど、後ろの乱戦に気を取られてくれてて助かった。
東「お見事」
『いえ、私も一度場所を移動します』
バックワームのフードを目深に被り心の中で雨取さんに謝る。
((ちょっと八つ当たりしちゃった。ごめんね))
