第1章 一
責苦の限りを尽くしたが、女は甘く締め続ける。未だ解放してやらぬ女を後ろから抱え、僧は心の中で念仏を唱える。
──ここまでもの破戒を犯したうえで、私は尚も念仏を唱えようとするのか。
僧はそのような自身を愚かしいと思った。
否、しかしながら僧は我が身などどうなっても良い、だがこの心美しき未亡人だけは仏の御加護に守られて欲しい、と思っていたことは紛れも無い事実であった。
ようやく小さな体を離してやると間も無く衣擦れの音がして、女が着崩れを直しているようであった。
盲目である自分の前ですら裸体を晒す事に羞恥を見せるその様子が、僧の胸を締め付けた。