【ヒロアカ】転生した先は猫人間でした【爆豪】【轟】
第16章 個性の話
「お前ね・・・」
『ご、ごめんなさい!』
「はぁ〜・・・。今回の2人の喧嘩、あれも見えたのか」
『あ、えっと・・・はい。ちょうど激し目な感じで殴り合ってるところがパッと・・・。その前に夕方、勝己が出久を呼び出してるのが聞こえたからかもしれません』
そう、寮の共有スペースで頭を悩ませていたのはこれのせい。
差し支え無さそうなストーリーなら覚えてるため、相澤やオールマイトにどう説明すれば良いのかを考えていた。
今回はどうにか爆豪の声がきっかけということにすることで何とかなったが。
「実際に目にしてなくても、きっかけさえあれば何かしら見あら・・・ってことか」
『多分、そう・・・だと思います』
「その時、頭痛は?」
『あー・・・。今までの時みたいなのはなかったです。ただぼーっとするみたいな、その程度で』
「見える内容によっても痛みの度合いが変わるのか」
『ですかね?』
相澤はオールマイトたちを待つ間、部屋で紬に能力の事を細かく確認していく。
「とりあえずわかった。本来ならお前を部屋まで送ってやりたいところだが・・・あいつらがいつ戻ってくるか分からん。すまんがもう少し待て」
『あ、はい。大丈夫です』
そう言われ大人しく椅子に座っていると、相澤は先程まで取り掛かっていたであろう仕事に再び手をつけ始める。
『・・・先生、っていいですね』
「・・・・・・・は?」
『いや、なんかヒーローやりながら次のヒーローを育てていくって、やり甲斐ありそうだなって』
「ああ、そーいう・・・」
『?』
「いや、興味があるなら目指してみるといい。向いてるかもしれんぞ」
『へへっ、そうだといいですねー』
紬が働く相澤の後ろ姿を眺めポツリと呟くと、固まる背中。
呟いた事の思惑を話すと相澤は普段通りに戻り、教師も悪くないと勧めてきた。
紬は相澤の普段は出ないようなフワッとした優しい雰囲気にこそばゆさを感じながら、3人の帰りを待っていた。