第7章 再会
“王様”と呼ばれ、ピタリと足を止めた飛雄は振り返らずに聞いていた。
「烏野でどんな独裁政権敷いてんのか、楽しみにしてるわ」
「………」
飛雄は俯いて何かを考えるような顔をしてから、吹っ切れたように顔を上げた。
「………ああ」
挑発に乗らなかった飛雄に嬉しそうな顔をした先輩たちは、ビシバシと飛雄の肩を叩きまた歩き出した。私は足を止めたまま飛雄に声を掛けた人を見ていた。
『………』
「………あっ!国見の、」
『…っ!』
国見くんの名前を出されて焦った私は飛雄たちを追うように走り出した。
あの人あれだ、国見くんが言ってた金田一くん。
見覚えのないジャージ姿だから気が付かなかった。
誰にも私だとバレなければそのままやり過ごそうと思ってたけど…どうやらもう難しそうだ。