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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第6章 なんでこうなった?


『私着替えてないけど大丈夫?』

私たちは下駄箱で靴を履き替えて昇降口を出た。

「うん、あ…体育館履きあるよね?」

『え?うん、下駄箱に置いてたからあるけど…必要?』

「多分あった方がいいと思う」

『分かった。ねえ…どこ行くの?』

「来たらわかる、かな」

『なんだそれ』

「鈴木ってさ、お願いって言われたら断れないタイプ?」

『どういう意味?』

「そのままの意味」

『うーん…どちらかといえばそうかも、必要としてもらえることは単純に嬉しいからね』

「そう?じゃあよかった」

『え?』

「鈴木、すごく必要とされてたよ」

『誰に?』

「………」

『ツッキー?……山口くん?』

「うぇっ!?…あー、あはは」



そこで私ははたと気付く。


『…あれ?そういえば2人とも今日部活は?バレー部は練習試合なんだよね、行かなくていいの?』

「僕練習試合の話、キミにしたっけ?」

『……え?言っ、てたよ?』

あ、やばいこれは飛雄情報か?
昨夜、明日は練習試合だと少し嬉しそうに爪を整えていたから。


「そうだっけ?まあ、それは大丈夫。…今向かってるから」



は?


『……ちょ、え、向かってるってどこに』

「だから部活に」

『部活って…バレー部?』

「IQ急に下がっちゃったの?」

『…こまるよ、それはとてもこまる』

「なんでさ」

『いやいやいやいや…まってストップ』

「ホームルーム長引いてギリギリだからさ、ごめん待てない」

『えっ!?あの、ツッキーごめん私ほんとに…!』


角を曲がった私たちの前に現れたのは、大きなバスと



「おい!てめーら!先輩を待たすとはいい度きょ……」




入学式で会った田中さん、だった。
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