第24章 春高一次予選開始!
飛雄も戻り、個々の帰り支度が済んだあと、1年生はボールやボールカゴを片付けるために1階へ向かった。私も行かなくてはと立ち上がると、ツッキーに「鈴木は休んでて」と止められた。体調が悪いわけではないし申し訳ない気持ちになりつつも、その優しさに甘えさせてもらうことにした。
1年生の背中を見送っていると視界に影が落ちた。見上げるとそこには潔子先輩が立っていた。潔子先輩はニコッと笑うと、私の前に腰を落とした。
「美里ちゃん、ちょっといいかな」
『はい』
「体調は大丈夫?」
『…心配掛けてすみません、体調が悪いわけではないんです』
「そっか…もし美里ちゃんが良かったらなんだけど、ここから一緒に帰らない?」
『え?』
「影山には出来ない話もあるかな、って」
たしかに、このまま帰って飛雄と同じ部屋にいるなんて想像が出来なかった。それに、このぐちゃぐちゃな気持ちを誰かに聞いてもらいたいと思っている自分もいた。
『潔子先輩…一緒に帰りたいです』
「ふふ、じゃあ私澤村と影山に伝えておくね。あと先生にも」
『どうもありがとうございます』
「いいの、気にしないで」
しばらくしてから私たちは、下で待つ1年生たちの元へ向かった。
そして、バスに乗ったみんなを潔子先輩と一緒に手を振って見送った。