第24章 春高一次予選開始!
月島 side
鈴木にお似合いだと言われた王様は、ものすごく複雑そうな表情をしていた。まるで「お前にだけはそんなことを言って欲しくない」とでも言うような、怒りとも悲しみとも絶望とも取れる…そんな表情を。
…まさかあの王様がそんな顔を見せるなんて。
そして、僕が鈴木のところに行くと言った時、影山の目は言葉以上に多くを語っていた。
──お前には関係ない。
──お前が行ったところで何になる。
──お前に、美里は渡さない。
やっぱりそうだったのか。
正直これまでに何度も頭に浮かんだことだった。きっと僕はこれまで、無意識のうちにこの考えに至ることを避けてきたんだ。見ないフリをしていたんだ。
「…はぁ」
「ツッキー…影山、すごく怒ってたね」
「うん」
「影山が俺たちの前で美里って呼ぶなんて、相当だと思わない?」
「…そうかも」
「あの子、2人と小学校が同じだったのかな」
「たぶんね」
「家に来たって話してたから、あの子は2人が一緒に暮らしてることも知ってるってことだよね。あの子からしたら、好きな人が同級生と一緒に住んでるなんてさぞ衝撃だったんだろうな……って、あ」
山口は口元を押えて僕を見た。
「なに?」
「や、あの…」
「もうお前にバレてるのは気付いてるけど、そういう反応ムカつくからやめて」
「ごめんツッキー…でもあの子言ってたね、早く捕まえて二度と離すなって」
「………」
「頑張るの?」
これはどんな答えを期待する目なのか、僕はあえて目を逸らしながら口を開く。
「どうかな…僕はカッコイイとすら思われてないからさ、お前と違って」
「ち、ちがっ!だからアレは何かの冗談だって!」
顔を真っ赤にして否定する山口を見て、僕はもう一度深くため息をついた。