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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第24章 春高一次予選開始!


──8月11日
春高 宮城代表決定戦 1次予選 当日。

ジャージを着ない夏場の大会では、監督、コーチ、マネージャー陣は統一したポロシャツを着るようで、今朝バスに乗る時に配られた。

会場へと向かう最中、バスの中でまたしても体調を崩した日向くんは、途中で降りて側溝に向かって戻していた。介抱しようとバスを降りようとしたら、日向くんに「来ないでー!」と拒絶されてしもったので大人しくバスで待っていた。

ペットボトルを手にゲッソリとした様子で車内に戻ってきた日向くんは、「鈴木さんごめんね、ありがとう」と一言告げて座席へ戻って行った。途中、田中先輩たちにゲラゲラと笑われて少し恥ずかしそうな日向くん。万全の状態で試合に挑めるように、私は吐き気止めのツボを思い出していた。



「朝から大量にカツ丼食べてくるとかウケる、そら酔うわ」

「このボゲ日向くそボゲェッ!」

「影山の罵倒ボキャブラリーはボゲだけだなあ」

「!…が、頑張って増やします」


「勝負の日はカツ食うだろ、普通!」

「普通とは一体…」


「チューチューするやつあるよ」

「おー、ありがとう!」

『そしたら日向くん、飲みながらでいいから腕貸して』


「腕?……わっ、」

『ココね、手首のシワから指3本分のところに、乗り物酔いとか胃の不調、ストレスや緊張で気持ち悪くなっちゃった時に効く内関っていうツボがあるの』

「へ…へえ!そうなんだ」

『きっとすぐに良くなるから、もう大丈夫』

「ありがとう…鈴木さん」

「キミなに顔赤くしてんのさ」

「う、うっせーな月島!」


『せっかくだからこのまま手のマッサージもしちゃおうかな』

「あっ、黒尾さんの言ってたヤツだ!」

『黒尾さん?』

「ううん、なんでもない!てか、他校の人たちにスゲー見られるんだけど…」

「ったりめーだろ日向ァ!なんたってこの鈴木がマッサージしてるからな!」

「ひゃい!」

『田中先輩、まさかそういうイジり…』
「じゃねえよ!?」



そのまま私はスタメン全員のマッサージをした。前の試合も後半戦、みんながユニフォームに着替え終わってすぐ、全員で下の階に降りて体育館の入口に待機する。



「前の試合終わった、行くぞ」


ガララララッとボールかごを押す音を響かせながら、私たちは走り出した。


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