第23章 止まり木
影山 side
「鈴木さんって鈍感なほう?」
「…っスね」
「やっぱり?でも、鈍いのは周りに対してだけにして欲しいよね」
「どういう意味スか?」
「せめて自分の気持ちくらいは…って、これは黙っておこうかな」
「?」
「おーい、烏野出発すんぞー!」
烏養さんがバスに乗り込みながら声を張り上げた。
「あ……じゃあ、失礼します」
「うん」
背を向けて歩き出した俺は、数歩進んですぐに振り返った。
「あの、赤葦さん」
「うん?」
「意味不明なキョーミ本位、あざした」
「!」
一瞬驚いた顔をした赤葦さんは、初めて裏のない顔で笑った。
「お役に立てた?」
「きっかけにはなったと思います、だからっつって何が出来るかわかんないスけど」
「そっか、頑張ってよ」
「…ハイ」
「じゃあまたね」
「また」