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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第23章 止まり木


菅原 side

「まぁ…あの、そういうわけだ」


「幼なじみ…って、え?そんだけ?」

「え?…ああ」


「いやいやおかしいでしょうが!幼なじみは顔についたお弁当を取って食わないし、夜のベンチで向かい合って手を握ったりしません〜!」



顔についたお弁当?



「黒尾、それってこんな風に握ってなかった?」


大地が俺の左手を取って、手のひらを両手でマッサージした。その様子を顎に手をあてて眺める黒尾。


「んー…正確に覚えてねーけど、鈴木さんはたしかに両手だった…気がする」

「これ、手のマッサージだよ」

「マッサージ?」

「うん。前に一度だけ俺たちも試合前にしてもらったことがあるんだけど、鈴木はそのマッサージの練習を影山でしてるって話してたから」



「マッサージ!?烏野すげえ!やっべえ!」

「マジかよ!?いいな〜されてぇ!」

「木兎さん夜久さん、落ち着いて」




「えっ……じゃあ鈴木さんがバレー上手なのは」

「あの影山とバレーしてきたから」

「影山のタオルを躊躇いなく使うのは…」

「幼なじみのタオルだからだな」

「…泣いてる鈴木さんのところに影山を向かわせたのも?」

「鈴木は自主練にずっと付き合ってきたし、影山が適任だろうと思ってさ」



「…なるほど。それで、“関係性” か」


梟谷セッターが月島を見ると、月島はフイッと顔を背けた。




「はぁ〜…!なんだ、そういうことか。…でも、そんな隠すようなことか?俺とか研磨みたいにサラッと言っちまえばこんな風に勘違いされることもないってのに」


「まぁ…そうなんだけどさ、多分本人たちにしか分からない苦労もあるんだよ」

「それに俺たちが知ったのも最近だし」

「マジですか」


「うーん…性格とか男女の違いはあるけれど、黒尾と研磨の空気感と言われれば納得出来なくもない…か?」





俺たちは、尚もゼロ距離で騒いでいる2人に目をやる。







「っぐるじい……首絞めんなバカ!」

『わっ、わ!ねえこっち見てる!見てるって!』

「わかったから!落ち着けお前!」

『だぁああっ!またきた!!』

「う、グエッ…!」








「…え、俺たちってあんな感じに見えてんの?」



黒尾は苦笑いをして首を傾げた。

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