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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第23章 止まり木


菅原 side

「……アレ、見ても?」

黒尾が口元をヒクつかせながら2人を指す。



「あ……ははは…」


大地のわざとらしい笑い声に、俺たちも顔を見合わせて苦笑いをした。すると月島がハァッと短いため息を吐いて黒尾を見た。



「…ていうか黒尾さん、鈴木のことあわよくばくらいにしか思ってないって言ってましたよね?」


「「「あわよくば!?」」」


「ちょ、ツッキー!?そういうのみんなの前ではちょっと…!」

「それなのに、どうしてそんなにあの2人のことを気にするんですか?」





「あ〜…」


黒尾は頭をガシガシと掻きながら、少し言いにくそうにこう言った。



「いや実はさ……俺、見ちゃったんだよね」


「何をですか?」




「前回の合宿の時、影山と鈴木さんが夜の自販機で向かい合わせに座って……手握ってるとこ」




「「「はぁっ!?」」」



烏野以外のメンバーが驚きの声を上げた。



「…黒尾さん、初耳なんですけど」

「そーだぞ、黒尾!」

「いや、さすがに言えねえだろ!」

「今言っちゃいましたけどね」


「いやなんか意地になったかもしんねえ…ちょっと反省してる」




「まぁでも…今の反応でわかりました、烏野のみなさんはやっぱり何か隠してますよね」


「「「………」」」


今の俺たち、漫画だったら “ギクッ” てオノマトペが使われるんだろうな。



「あの2人、明らかに空気感が違うと思うんですけど」





「あ〜……」




今度は大地が頭をガシガシと掻いた。
…なんというデジャヴ感。






言っちゃう?
いや、でも勝手に言えねえよ…




そんなやり取りが視線だけで行われていた。
















すると、どこかからポツリと声が聞こえてくる。











「…幼なじみ、なんじゃないの?」








俺たちは声のした方向へ一斉に目を向ける。そこには壁際にちょこんと座り、横向きのスマホを両手でタップする音駒セッターの姿があった。


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