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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第23章 止まり木


「にしてもほんとすげーよな、鈴木さん」

『え?』

「だって何でも出来んじゃん!」

「ほんと、良い練習させてもらったよな」

『いやいや、そんな…!』


「夜久さんも取れないサーブありましたもんね!」

「うっせえよリエーフ!」

「いたっ」


「そういえば鈴木さんって、トスも上げられんの?」

夜久さんはお肉を口に運びながら私を見た。


『あー…トスは上げられないですね』

「へえ〜!鈴木さんにも出来ないことがあるんだ」



「あれ?でも前にやってなかったっけ?俺かすかに記憶あるよ」

『そんなはずないと思うんですけど…』

だって私がトスを上げていたとすれば、その相手は間違いなく飛雄だ。学校、ましてや誰かの前でトスを上げた記憶は私にはない。

私のトスは基本的に飛雄のスパイク練習だから、あるとすれば家の庭だし……ってあれ、菅原先輩の記憶ってもしかして…


「あっ、思い出した!庭だよ庭、ほら影や…」
『えぇっ!?庭ですか!?なんだろう庭って!』


菅原先輩に言葉を被せると、先輩は私の言いたいことを即座に理解してくれたのか慌てて口と目を閉じた。


「どした、スガくん」
「いきなり瞑想スか?」

「…うん、なんか急に降りてきた」



「つか、鈴木さんってなんであんなにバレー上手いの?」

「中学でバレー部だったとか?」


『いえ、中学は家庭科部でした』

「料理出来るって言ってたもんな」

『えへへ…好きなだけですよ』



「じゃあ、どうやってバレー覚えたの?気になる!」

「リエーフ、真似しようとしてるだろ」

「バレました?」





『えっと…その、ですね』

「………」


菅原先輩はもう何も言うまいと、何故か “素人は黙っとれ” の表情でお肉を咀嚼していた。

この会話の流れ、これまでに何度も経験してるはずなのに今だに正解が分からない…どう答えよう?












「バレーやってる幼なじみがいた、とか?」







『!?』


驚いて振り返ると、そこにいたのは黒尾さんだった。





「おや?もしかしてビンゴ?」

『え…あの、』





ズイッと顔を近付けてくる黒尾さんに、私は目を泳がせた。

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