第23章 止まり木
影山 side
「は……?」
「鈴木さん…っ!?」
『…っ、』
俺たちの視線に気付いた美里はクルッと背を向けた。
「お前らァ!よくも鈴木を泣かせたな!?」
「「なっ!?」」
「許さねえっ!」
嬉しそうに肩にのしかかってくる田中さんと西谷さんに、俺たちはグッと踏ん張って耐える。
「影山」
その声に顔を上げると、穏やかな表情をした澤村さんと目が合った。
「あいつ、よっぽど嬉しかったんだろうな」
「………」
「鈴木はお前のトスの成功を、誰よりも一番願ってただろうから」
小さな背中を向けて、肩を震わせる美里。
それを見て胸のあたりがギュッと切なくなった。
澤村さんの言うように美里はこの瞬間をきっとずっと待ち続けていた。何度やっても感覚を掴めなかった俺のことを、ずっとずっと信じ続けてくれていた。
「…………」
「行ってやんなさいよ」
「………ハイ」
トンッと背中を押された俺は、美里の元に歩き出した。