第23章 止まり木
影山 side
日向の手ドンピシャに収まったボールは、ドパッと重い音を立てて梟谷コートへと叩きつけられた。
トンッ、トット……
弾んだボールがコロコロと転がる。
ここまでの一連の流れがまるでスローモーションのように見えた。
ふと日向を見ると、あいつも同じタイミングで俺を見た。
「「〜〜〜〜〜ッ!!!」」
日向の高揚した顔、そのでけえ目の中に映る俺も多分同じ顔をしているのだろう。
成功した、
初めて新しいトスが成功した。
「…って、ふざけんな!やるなら先に言っとけ!」
「だって “今イケル!” って感じしたろ!?したろ!?!」
──「やんねーの?」
またこいつに引っ張られた、クソッ…
「でも、スゲーな!スゲー!目の前で止まったぞ!?こう、“シュルン” って!!今回は絶対来るって感じしたけど、実際目の前で止まるとビビるな!?
やっぱりお前、スゲーな!!」
「!!?」
真正面からそんなことを言い出した日向に面食らう。
「…なん…なんだボゲェッ」
「おい影山表情筋どうした」
その時、ピョロッと情けない音で笛が鳴った。
…そういえば、今の1点が決まったとき美里は笛を吹いてなかったな。いつも細かいところまでしっかりこなすアイツが珍しい。
俺たちが審判台に目を向けると、なんと美里は笛を咥えたままポロポロと涙を流していた。