第23章 止まり木
月島 side
「好きじゃないのに!?」
「なんで!?」
「試合中に隙ひとつ見せない天才セッターが、彼女を狙う男が現れた時にどういう反応をするのか気になって。単なる興味本位ですよ」
「………」
彼女の話といいこの話といい、赤葦さんは敵に回したくないタイプだ。他校だから最初から敵だけど。
「そんで、影山はなんて?」
「俺にそんなこと聞かれても困る、狙うのは赤葦さんの自由だし、誰を選ぶかはあいつが決めることだ、と」
「…はーん、当たり障りないな」
「アイツ意外とまともだなァ!」
「ですね、ほとんど動揺も見せず残念でした」
「でもさ、ついさっきの赤葦の言葉を影山は否定しなかったよな?」
「はい、そこなんですよね。否定しなかったどころか、もう認めてましたから」
「赤葦さんは何て言ったんですか?」
「狙うのは俺の自由だって言ったくせにそのチャンスを奪うのかって、そしたら影山は “そうなります” ってさ。鈴木さんの腕を掴んで敵意剥き出しに俺を見るから、一瞬本気で鈴木さんのことを狙ってみようか悩んだくらい」
「相変わらずイイ性格してんな、赤葦」
黒尾さんはハハッと乾いた声で笑った。