第23章 止まり木
その日の練習終わり、ツッキーは木兎さんから声を掛けられていた。自主練を誘われたようだけど、それを断ったみたい。
「おい、鈴木さん」
『ん』
「自主練」
『ねえ…苦しいとき、私には影山くんがいてくれるじゃない?』
「あ?」
『…だけど、ツッキーはどうなんだろう』
「月島?」
『私が自分の弱い部分を影山くんに見せられるように、ツッキーがそういう部分を見せられる人はいるのかなって…』
「………」
飛雄は、日向くんに付き纏われるツッキーを見た。
「いるじゃねえか、あいつにも」
『え?』
「俺にとってのお前みたいなヤツ」
『…………あ、』
飛雄の言葉を頭で咀嚼している最中に見えたツッキーの横顔がひどく苦しそうで、考えるより先に足が動いていた。
『ごめん影山くん、今日は谷地さんに上げてもらって』
「お、おい!」
体育館を出ていったツッキーを追うように、私も体育館を飛び出した。
大きな背中に向かって声を掛けようと息を吸った時、ツッキーの怒りを含むため息が聞こえて私は開きかけていた口を閉じた。
その時、後ろから足音が聞こえてきた。
私は咄嗟に物陰に隠れる。
「ヅッギィィィイィイイ!!!」
『!?』
その声は山口くんのものだった。