第23章 止まり木
影山 side
自主練を終えた俺たちは、荷物のある教室まで戻ってきた。
今日から1週間はここが俺たちの寝床だ。風呂は学校に併設された合宿所で入るらしい。月島はもう済ませたようで敷いた布団に寝転んでいた。
「風呂まだのヤツ行くぞ、準備しろ」
エナメルバッグから下着を入れた巾着を探すと、出てきたのはネコの描かれた青い巾着だった。
…たしかこれ、美里のじゃなかったか?
そう思いつつ、何の気なしに俺は巾着の紐を緩めた。そして中身を覗く。
「!?」
俺はその巾着をバッと勢いよくバッグの奥に突っ込んだ。
ドッドッドッ…
自分の心臓の音がやけに大きく聞こえる。
「どうしたの、影山?」
「……なんでもない」
「嘘つけ!絶対今なんか隠した!」
「うるせえ黙れ!」
「なになに?」
「どした?」
「先輩!影山が持ってきちゃいけないモン持ってきてます!」
「っ…おい!日向てめえ!」
「だってお前のその焦り方、絶対おかしいじゃん!」
日向のせいで先輩たちまで集まってきた。
「影山、何持ってきたって?」
「…いやなんも」
「あやしいぜ、影山」
「さてはお前…エッチな本持ってきたんだろ、俺たちにも見せろ!!」
「んなもん元々持ってないです!」
「…まあそうか、毎晩生身のオカズが真隣で寝てりゃそんなもんいらねえよな」
「あいつのことエロい何かみたいに言うのやめてもらっていいスか」
「…で、影山は何を持ってきたって?」
視界に影が出来て反射的に見上げると、澤村さんが俺を見下ろしていた。
「合宿だし、俺も責任あるから一応な」
「…い…言えません」
「お前が言わないなら俺が確認するけど、どうする?」
「………っ」
「じゃあ…見させてもらうぞ」
スッと俺のバッグに手を伸ばした澤村さん。俺は勢いよくバッグを抱えた。
「は…おい?」
「っ、言うんで…絶対見ないでください!」
「影山…?」
「し…………下着っス」
「は…下着?」
「バカそんなん、みんな持ってきてんだろ!」
「ちがいます!俺のじゃなくて、
……鈴木さんの」
「「「はあ!?!?」」」