第23章 止まり木
部屋に戻った私たちは、布団を敷いてお風呂の順番を待っていた。
「美里ちゃん、何書いてるの?」
『今日の戦績と反省点を先に纏めておこうと思って』
「わあ、すごい分析だね…かっこいいなぁ」
『ううん、まだまだ頑張らなきゃ!……あ、仁花ちゃんごめん、そのカバンから筆箱取ってもらってもいい?修正テープ欲しくて』
「いいよー!」
私のカバンを開いた仁花ちゃんは、筆箱を手にして「あっ」と声を発した。
『なにかあった?』
「私も昔このキーテイちゃんの袋持ってたよ!懐かしいな」
…あれ?キーテイちゃんは飛雄に渡したような気がするんだけど…間違って私が持ってきちゃったのかな?もし緊急性の高そうなものなら連絡して渡してあげるか、前回のノートの借りもあるし。
『ねえ仁花ちゃん、それ何入ってる?』
「え?うーんとね…ハンカチ、かな」
『ハンカチ?』
「うん、なんかツルツルの…うわぁあっ!?」
突然仁花ちゃんが大声を上げた。
『うわあっ!?な、なに!?虫!?』
「え、あっ…チ、ガウ…ナンデモナイ」
『えっ!?なに、なんか怖いんだけど!』
すると仁花ちゃんはズーンと落ち込んだように肩を落とした。
「自分と違うからってそれが少数派なわけじゃないのにね…驚いたりしたら失礼だよ…私最低だ…」
『少数派!?一体何を見たの!?』
「美里ちゃんは下着…ボクサー派だったんだね!」
『…ボクサー?』
「男子の履くやつ、みたいな…あっ!でもいいんだよ!美里ちゃんが何を履いてたって!おかしくないよ!ボクサーあっぱれだよ!」
パニックに陥った仁花ちゃんが天高く掲げたソレは、絶対にここにあってはいけないものだった。
『まって…違う、それ影山くんのだ!』
「ヒィィィイイッ!?ご、ごめんなさい!」
『え!?』
「影山くんのパン…下着、触っちゃった!!」
『大丈夫だって、汚くないから!洗ってあるやつだから!』
「そうじゃなくて!ごめんなさい!!」
『なんで私に謝るの!?』
私が飛雄の下着を巾着に戻してからカバンを見ると、本来あるはずの私の巾着がないことに気がついた。
ま、まさか……
『ヒィィイイイッ!?』
「美里ちゃん!?」