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【HQ】初恋に溺れて息ができない【影山飛雄】

第23章 止まり木


初戦の梟谷に始まり、今回も全ての学校と順番に試合を行った。私は途中何度か審判をやらせてもらいつつ、それでも大体はベンチから試合を観ていた。


今回のペナルティは、体育館の裏山を駆け上がる “坂道ダッシュ” 。試合後の疲れた体にはかなりキツそうで、それでも張り合う飛雄と日向くんには開いた口が塞がらなかった。


本日全ての試合を終え、ヨロヨロと裏山から降りてくるみんなにドリンクとタオルを手渡した。飛雄は髪を掻き上げながら、すっかり星の出る空を見上げていた。


『ほい、影山くん』


「…ありがとう」

『今日どうだった?』

「実践だと、やっぱちげえな…」

『でも日向くん、前と違うって驚いてたよ』


「…あいつだって前と違った」


少し離れた位置にいる日向くんをチラッと見やって、飛雄はわしわしとタオルで顔を拭いた。そしてそのタオルを首にかけてスッと息を吸った。





『「やるしかねえ」』





言葉が重なって、飛雄はびっくりしたように私を見る。




『…って言いたそうな顔してた』



そう言って私が笑うと、飛雄はふーっと長く息を吐いて体育館の中へ戻っていった。





「…相変わらずの以心伝心っぷり、だな」





背後で声がして振り返ると、澤村先輩が腕を組んで立っていた。


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