第23章 止まり木
菅原 side
『あはははっ!そうですよ、私たちこれから忙しくなるんだから!もうすぐ長期合宿だし、春高予選だってありますしね!』
「そうだぞ鈴木、その意気だ!」
『おーっ!』
「いやでも、鈴木恋愛に興味があるんじゃないの?今のだって結構カッコイイやつだったじゃん」
「なんスか旭さん!鈴木が今のヤツと付き合えば良かったって言うんスか!?」
「ち、ちがうけどさ!とりあえず付き合ってみて相手を知っていくうちに、もしかしたら好きになるかもしれないわけじゃん?」
すると鈴木は、体育座りで膝をギュッと抱えながらこう言った。
『私…初めての恋愛は、どうしようもなく好きになった人としてみたいんです』
その姿や言葉に、俺たちは息を呑んだ。
『心臓がドキドキして、夜も眠れないくらいに好きになった人の…彼女になりたいんです』
少女漫画の読みすぎですかね?そう言いながら真っ赤な顔をパタパタと手で扇いで弁当箱を手にした鈴木が可愛すぎて、俺は思わず心臓を押さえた。田中たちも同じように、声にならない声を上げている。
「ぁう…うああ…!」
「ううぅ……っ!」
「お前ら!今のはわかる、わかるけど…!」
「大地…」
「どうしたスガ!」
「俺、心臓が痛くて夜も眠れない…」
「やめろ!」
そんな中、影山は一人冷静にごちそうさまでしたと手を合わせて立ち上がった。
「はあ!?お前っ、マジなんなんだよ!!」
「!?…菅原さんどうしたんスか」
ビクゥッと肩を揺らして俺の心配をする影山を見て、俺は頭を抱えながら体育館に横たわった。