第23章 止まり木
菅原 side
「あの!あ、あ、あれって…まさか!」
「うん、告白だろうね」
「えぇえ〜っ!やっぱりですか!?私、ああいう呼び出しの瞬間初めて見たかもしれないです!」
「俺たちも鈴木と出会ってからだよ、少女漫画みたいな状況に出くわすようになったの」
「つか影山!あいつお前の知り合いかよ!」
「ハイ、同じクラスの人っス」
「マジか!なんでそんな平常心なんだよ!」
「え?」
「もっとこう…なんかねえのかよ、幼なじみだろ!」
「?別に何もないスけど」
「なんでだよ!」
「なんでって言われても」
「あれ?…そうか!あの1年は知らないのか、鈴木が影山の幼なじみだって」
「そう!そこなんだよ大地!これから告ろうとしてる相手の手作り弁当を今まさに同じクラスのヤツが食ってるなんて知りもしないんだよ!」
「うわあ…影山には悪いけどキッツいな」
「?」
「でも野球部の旗崎も鈴木を狙ってるって聞いたことある」
「え、5組の野球部エース?」
「2年にもいますよ、鈴木狙ってるヤツ。ぜってー俺が許さねえって言ったけど」
「西谷権限でけえな」
「つか、そんなん言って鈴木に彼氏いたらどうすんだよな!」
「でもなんか私のクラスの男子が、美里ちゃんは彼氏が欲しいと言ってたという噂を…」
「「なんだと!?」」
「あー…なんか前にうちのクラスでそんな話になったよね?ツッキー」
「…あったね、恋愛宣言」
「「恋愛宣言!?」」
「なんか鈴木、今までに一度も好きな人が出来たことがないらしいんですけど、恋愛には興味があって彼氏も欲しいって…多分その場に谷地さんのクラスの人もいたんじゃないかな?」
「えぇ!?なんと!?」
鈴木に彼氏どころか好きな人が出来たことがないってホントかよ!?でもそんな話を聞いてもいつも通りの表情を崩さない影山を見る限り、嘘ではないんだろうな。
それにしても、影山はマジで鈴木のことをどう思ってるんだ?鈴木に告るであろうあの1年に凍りつくような冷ややかな視線を向けた月島は分かりやすかったけど、影山からは微塵も興味や焦りを感じない。
俺がうーんと唸っていると、鈴木がパタパタと駆け足で戻ってきた。