第4章 “頂の景色”
入学式を終えて教室に戻る最中、たくさんの人に声をかけられた。無事に務められていたんだなと今さらのように安心した。
教室に入ると、案野さんが駆け寄ってきた。
「鈴木さんすごい!新入生代表だったんだね!挨拶感動したよ」
『あ、はは…どうもありがとう』
案野さんに続くように、他のみんなも私を取り囲んで拍手をしてくれた。
ガララ…
先生が入ってきたので私たちは席に着いた。
「なんだ騒がしいなこのクラスは…ってそれも仕方ないか。鈴木、素晴らしい挨拶だったお疲れさん。みんな拍手」
その言葉に促され、再度拍手が起こる。
「早速職員室もその話題で持ち切りだった、鼻が高いよ。あんまり初日でこういう話をするのもアレだが、例年ウチの高校の入学式で新入生代表を任せるのは、一般入試で最高成績を収めた生徒だ。もちろん同一点数の場合は内申書できめることもあるが、鈴木はダントツだった」
『!…ちょっと、先生…もう』
「なんと、全教科満点!」
なんで言っちゃうの!?…みんな初めましてなのに、そんなこと言ったら嫌味なイメージがついて嫌われちゃうかもしれないのに…!
もう終わった…そう思いながら私が顔を上げられずに机に突っ伏すと、
「へえ〜、朝話したときはあんなにバカ丸出しで僕とケンカまでしたのに、人って見かけによらないんだ…ね?鈴木サン」
隣でツッキーがそう言った瞬間、教室中が笑いに包まれた。
『…な、なんだよー』
私の気持ちに気付いて、さり気なくフォローしてくれたのかな。ちらっとツッキーを見ると、頬杖をつきながら意地悪そうに口角を上げていた。